私自身、飛行機を利用する事はあまり無い為、慣れない手続きで戸惑いながらでした。
最近の飛行機は、チケットを買う際に有人窓口では無く、自動発券機で購入をするシステムになっている様なのですが、私が戸惑いながらもなんとかチケットを購入すると、その横で中学生くらいの大人しい感じの少年が、自動発券機の前で固まっていました。
恐らく自分と同じように、どうやったら良いのかわからず、また、近くに店員さんもいなかった為、聞ける人もおらず、という状況だったと思います。
見かねた私はその少年に話しかけました。
私 「どうしたの?」
少年「あ…あの…(しばし沈黙)」
私 「買い方がわからないのかい?」
少年「あ、はい…」
今にも泣きだしそうな少年がかわいそうになり、一緒に手続きをしてあげました。
チケットの購入ができたすぐ後に、その子のお母さんがやってきました。
母 「あ!ひょっとして、教えて頂いたのですか!?本当に申し訳ございません!!ほら!●●ちゃん、お兄さんにお礼を言って!」
私 「これだけじゃ、わからないですよね~。気にしないでください」
そういって、その親子とお別れしました。
その後、飛行機に搭乗すると、私の隣に固い表情をした少年が座っておりました。
よく見ると先程の少年がいるではありませんか。
何かあったな?と思った私は、少年に話しかけました。
私 「あれ?どうしたんだい?」
少年「あ、あの…(しばし沈黙)。席を交換していただけませんか?」
私 「どうしたんだい?」
少年「お母さんも窓際なので…」
どうやら、チケットを買えたのは良いものの、座席指定ができないチケットの為に、お母さんと離れ離れになってしまった様です。
私 「ああ、大丈夫だよ」
少年「ありがとうございます」
母 「重ね重ね、どうもすみません」
そういって、窓際に座っていたお母さんと私は席を交換し、お母さんも少年も安心した表情でお礼を言いました。
無事に空港に到着し、帰りの電車に乗りました。
始発という事もあり、座席に座って一息ついていると、正面に座っている少年が話しかけてきました。
少年「あの、先程はありがとうございました」
私 「あ!先程の!いえいえこちらこそ、お帰りこちらなんですね」
母 「奇遇ですね。本日は、本当にご親切にして頂きありがとうございました」
そういって、親子が最寄り駅で先に降りるまで、たわいのない話をしました。
そうして、私の長かった出張が終了致しました。
振り返ってみますと、何気ない小さな声掛け一つで、ここまでほっこりした気持ちになれた事は、とても素敵な思い出になりました。
何より、最初は固まっていてもじもじしていた少年が、徐々に自分の殻を破って、最終的には自分から話しかけてきてくれたことが、とてもうれしかったです。
仕事上でも、それ以外でも、何かに気が付く事、そして声をかける事はとても大事なことだと再認識した出来事でした。