2016年10月3日月曜日
わたしの街の母
わたしの住んでいるまちは、緑豊かな小さなまちです。
天気が良い日はお散歩しているひとを、よく見かけます。
バスを利用して出かけることが多いのですが、
社会人になって少し経ったときにバス停で出会ったひとの話です。
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夏の暑い日、バスを待っていた時でした。
少し離れたところから親子が連れ添って歩いてきました。
70代くらいのお母さんと50代くらいの娘さんという印象を受けました。
(もしかしたら、お嫁さんかもしれません。)
とてもゆっくり歩いていらっしゃるお母さんの隣を、ぴったりついて歩く娘さん。
少しずつこちらに近づいてこられ、お母さんがベンチに、すっと座られました。
「ごめんなさいね。バスは乗らないけれど、休憩させて。」
長い間歩いていらっしゃったのか、少し息が切れているようでした。
5分くらいでしょうか、そこで娘さんと談笑していらっしゃったのですが、
お母さんがふと、横で立っている私を見つめておっしゃいました。
「無理しないのが一番よ。」
ちょうどその時期は色々と悩んでいたので、思い詰めた顔をしていたのかもしれません。
その言葉ひとつだけで、とても心が軽くなったことを覚えています。
その日だけの出会いかもしれないと残念に思っていたのですが、
その日からたまにおふたりを見かけるようになりました。
(たぶん、いつも歩いていらっしゃったと思いますが、
私の視界の狭さからまったく見えていなかったのだと思います。)
2回目に見かけたときから、勝手に「〇〇の母」と名付け(〇〇は私の住むまちです)
親近感をもって見つめています。
「母」はわたしの住むまちで、色んな人に話しかけながら
お散歩していらっしゃるようで、
きっとわたし以外にも母の言葉に救われたひとがいるのだと思います。
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事情を知らなくても、多くを話さなくても、救われたり、癒される言葉があると思います。
相手の雰囲気をみて、言葉を選ぶこと。それは親切 ”心” のひとつかな、と思います。
口下手なわたしも無理に多く話そうとせずに、時と場合によって
言葉をだせたらな、と思います。(とても難しいことだと思いますが・・・)