2017年12月3日日曜日

「ぼやけた彼女の顔」

私事の話なのですが。

今年の夏、妻に「癌(がん)」が見つかりました。

最初は、「少し体調が悪い・・・」などと妻が言うもので
心配も多少しかせず「とりあえず検査でもしてみたら?」と
ちょっとした疲労からくるものだと思い一声かける程度でした。

それから少しして、検査に行った妻は
案の定、腸にポリープが見つかり内視鏡での手術が必要だという事でした。

なんだか心配が込み上げては来ましたが

妻は「まぁ、2,3日くらいで退院できるって言うし」
「その間、こども達の事よろしくね」っと言って、たいした事ないくらいに言いました。
私は「とりあえず、夏季休暇に合わせればこどもの心配はいらないか」と
珍しくパパっぽい事を言ってみたところ。
妻は「大丈夫かなぁ・・・」と私の子守の心配なんかするほど余裕がありました。

それから時間は過ぎ、手術に向けて再検査・・・
というより、一度目の時にしっかり検査がしきれなかったので
念のため、またまた内視鏡での検査に妻は「いやだよぅぅぅ・・・」と
内臓物をクリアにするために、なんでも色々飲んだり我慢したりしなくてはならないらしく
項垂れていた姿を少し笑いながら「頑張って」と応援していました。

夏季休暇も入院日と予定通りとれそうだったので、あとは早く良くなれば

そう思っていた矢先

妻の再検査の結果を聞き、私は「え・・・?」と
言葉が出ていたか出ていないかは覚えていません。

検査結果は「癌(がん)」でした。
上行結腸にできたポリープに腫瘍が見つかり身体に穴をあけ
そこから器具を入れて切除する、とのことでした。

手術予定も変更

内科から外科への手術となり入院から退院まで約20日と
突然の出来事で、只々「・・・・(なぜ?)」と考え込むことしかできませんでした。

手術の予定も定まらず、早くどうにかしてほしい気持ちと
そんなに都合よく手術ができないことから
色々なストレスを感じていたのは今でも覚えています。

そんな時、外科担当医からお話があり、34件目の手術で良ければと言われ
迷うことなくお願いをしました。

夏季休暇、こどもを保育園に預け妻と話をしました。

こどものこと・仕事のこと・お金のこと
入院する前にしたいこと・退院したらしたいこと。

結婚してから、こんなに真面目に話したことあったかなと思うほど
たくさん話をした気がしました。

お互い、職場への報告をして
わたしは、妻の入院中は時間短縮での許可を頂き、こどもの送り迎えと、夕飯を共にし
妻は手術に専念することにしました。

妻の入院中、こどもたちはというと
次女(2)はあまり手がかからず、何か食べ物があれば満足していました。
しかし、長女(5)は流石に母の居ないことの理解があり
毎日、私が妻の入院する病院に立ち寄り交換日記をすることにしました。

妻は次女には「コレだーれだ?」とキャラクターの絵を書いて
  長女には「ママが退院したらなにしたい?」「どこに行きたい?」などど
日記に書き、娘にわたしがそれを読んで、長女の言葉を日記に書き写しました。

ある日、長女が言った言葉にわたしは、ふと目の前がぼやけました。
「ママが頑張ってるから・・・今は我慢するの頑張る。」

少し涙をにこらえ、目元を赤くしながら小さな腕で目をこする姿に
わたしは思わず、ギュッと娘を抱きしめて
「パパにはなんでも言っていいからねと」言いながら
次に彼女の顔を見た時には顔がにじんでよく覚えていません。

娘が何も言わず、わたしの胸に顔を寄せ震えていたことは忘れもしません。


早期発見、短期間での手術のおかげで
妻は、無事に退院。

今は今後再発していないかの確認のため5年間の通院をすることになり
帰宅した妻に、長女は顔を見るなりギュッと抱きつき
我慢していた涙をポツポツ流すと

妻は笑顔で「頑張ったね」「もぅ我慢しなくていいよ」と言うなり
娘は声をあげて泣きじゃくりました。

今回の件で、家族、友人、職場、保育園の先生、病院の方々にとても支えてもらい
改めて人の親切に感謝する機会が沢山ありました。

人の支えが、こんなにもありがたいと実感できたのも
不幸にも幸い、いつも誰かが支えになってくれたおかげで
今日も妻とこどもの笑顔見ていられることに感謝します。


これからも家族とともに
人を思う気持ち、人に対する気持ちを大切に
生きていければと思います。

親身になってくれた、親切にしてくれた皆様にお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。